住処屋スタッフブログ
スタッフブログ-5「縁側と濡れ縁」
2020-11-30
カテゴリ:建築現場から,設計事務所から
縁側のある家が好きです。現代的な家の使い方の中では、決まった用途のない無駄な空間とされてしまいそうな縁側ですが、古い日本家屋での生活においては、通路であったり、休憩場所であったり、干し柿などを吊るしたり並べたりしたりと生活に寄り添った空間でした。家の中でも外でもなく、家の周りで過ごす時間が現代よりも長かったからこそ、縁側のような曖昧な場所が便利だったのかなと思います。
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下の写真は一年ほど前に施工した縁側の木製建具と濡れ縁です。工事前はガラス戸は無く、雨戸をすべて戸袋に仕舞わないと室内に光を入れる事が出来ず、庭を眺める事も出来ませんでした。この縁側を人が集まり、くつろげる場所にしたいとご相談をいただきました。
完成した濡れ縁と建具は耐久性の高い栗の木を使いました。元々あった戸袋はデザイン的に取りたくなかったので、そのまま残しています。濡れ縁の束石には庭の雰囲気と合わせて自然石を使いました。
完成した縁側は訪れる方にも好評だと聞き、嬉しい限りです。
艶のある縁側の床板やお庭、低く深い軒などの元々あった家の魅力を少しの工夫でより良いものに出来たと思います。